高齢者への強引なセールスは法律違反! 改正消費者契約法について

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不当な商品やサービスを購入させるといった詐欺手口が、近年問題視されています。以前からある電話によるもののみならず、インターネットの普及に伴い、さまざまな形ではびこってきているためです。また言葉巧みな売り込み文句によって、高齢者被害が多いという点も不安なポイントです。しかし、そのような被害から消費者を守る消費者契約法を正しく理解していれば、万が一の事態にも落ち着いて対応できます。そして平成29年からは改正消費者契約法も登場し、さらなる安心感が得られるようになってきています。

 

消費者契約法とは?

消費者契約法は、簡単にいうと消費者を守るための法律です。事業者と消費者は、商品やサービスを提供する側と、対価を払って利用する側に分かれます。しかし関係性は対等でなく、情報や交渉力において多くの場合は事業者の方が強い立場となります。そこで、この格差を和らげるため制定されたのがこの法律というわけです。ただ取引を行ううえで不利になるケースだけでなく、詐欺が発生した場合の対処法としても有効に感じられます。

主な内容としては、4条に制定されている、「消費者が一定の要件のもと行使できる契約の取消権」8、9、10条における「消費者に不利な契約条項の無効」といったものが挙げられます。つまり、一定条件に該当するものであれば、利用や購入が行われたあとでも契約やその内容を取り消し、被害を回避することや支払いを取り戻すことも可能になるというものです。詐欺は、多くの場合被害にあってから気づくことでしょう。高齢者なら、なおさらです。そのようなとき、強い味方に感じられる法律となっています。

 

改正消費者契約法のポイント

消費者契約法が改正されたのは、平成29年6月3日です。大まかにまとめると、より消費者保護に関する力が増したような改正となっています。これまで以上に対処できる幅が広がったため、ぜひ各面を覚えておいてください。

重要事項の範囲の拡大

取り消し要件としては、法律で指定されている重要事項が該当します。今回の改正において、この重要事項の範囲が拡大されています。まず以前までの範囲は、「消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容」、「消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件」のそれぞれと定められていました。しかし改正後には、「物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものが当該消費者の生命、身体、財産その他の重要な利益についての損害又は危険を回避するために通常必要であると判断される事情」と明記されています。より具体的かつ広範囲な内容となったことで、取り消しできるケースが拡大されています。

過量契約による取消権の新設

新しい法律としては、この「過量契約による取消権」がみられます。1回の契約で当該消費者にとっての通常の分量を大幅に超える契約を、過量契約といいます。そうした場合、不要なものまで多額を投じて購入させられる形になるため、結果としては金銭をだまし取られる形に他なりません。この新設は、そうしたケースを対処するための改正となっています。

取消権の行使期間の延長

従来、取消権の行使期間は6ヵ月と制定されていました。ですが改正に伴い、「追認をすることができる時から1年間」という内容に改められました。追認とは、取消原因となっていた状況が消滅し、なおかつその行為に取消原因があることを知ったときを指します。購入から1年以上が経過していても、取り消しできる可能性に期待が持てるというわけです。怪しいものに関しては、極力証拠を残しておくことが大切になるでしょう。

不当条項の追加

改正消費者契約法は、消費者ばかりが有利となっているわけでもありません。中には、事業者側の力になる改正もみられます。不当条項の追加が、そのひとつとなっています。これは、「事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる条項」「有償契約である消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があること(請負契約の場合には、当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があること)により生じた消費者の解除権を放棄させる条項」の2項から成り立っています。つまり、債務不履行や瑕疵があっても消費者の解除権を放棄させられるという内容です。

消費者の利益を一方的に害する条項の前段要件(10条前段要件)の例示

改正法においては、具体例を含んだ点が特徴的となっています。主には、「消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又は承諾の意思表示をしたものとみなす条項」という一文です。一方的な被害を食い止める効力が増した形となっており、複雑化する近年の詐欺事情において、心強く感じられる改正といえます。

取消権を行使した消費者の返還義務の範囲の限定

取り消しを行う場合、消費者には給付された物品の返還義務が生じます。今回の改正では、返還という作業のほかに「原状回復」の必要性も明文化されました。返還する際には、完全な形での返還が必要となります。回復不可となれば返還できないケースも考えられるため、高額商品や怪しいサービスを利用した際には注意しましょう。

 

電話や訪問といった手段で、高齢者に商品を購入させて多額のお金を振り込ませるタイプの詐欺に対抗するためには、この改正消費者契約法のポイントを理解しておくことが重要になってきます。主な要点としては、取り消し行使期間の延長、過量契約による取消権の新設の2点が挙げられるでしょう。これらをうまく役立てて、対処してください。

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