振り込め詐欺の被害者となった高齢者たちの心はどうなってしまうのか


高齢者詐欺の代表的な手口といえば、やはり振り込め詐欺ではないでしょうか。『オレオレ詐欺』などが例に挙げられる、高齢者の良心につけ込んで財産を奪う何とも悪質な犯罪です。それだけに、被害に遭ったときの精神的負担はとても大きなものとなります。そんな心をサポートするには、どのようなケアが効果的なのでしょうか。ここでは、振り込め詐欺に遭った高齢者のケアについてご紹介します。

 

振り込め詐欺の被害状況

振り込め詐欺という言葉は、良くも悪くも、すっかり市民権を得てきているのではないでしょうか。被害に関するニュースはもちろん、注意喚起や対策のための情報も広く注目を集めているためです。ですが、それでもなお被害は数多くみられるというのが実際のところです。

 

被害の傾向は、警察庁発表のデータにて確認することが可能です。たとえば認知件数は、平成28年が約15,000件であったのに対し、平成29年は約18,000件とたった1年で明確に増加しています。被害額についても、平成28年が約410億円、翌年平成29年約390億円と、ほぼ変わらない額が記録されています。特に多いのが振り込め詐欺の代表格ともいえる、オレオレ詐欺です。平成29年度のデータにおいては、2番目に多い架空請求詐欺を約3,000件も上回る結果となっています。特に注意が欠かせない詐欺といえるでしょう。

 

高齢者が狙われる背景

振り込め詐欺は、高齢者を狙う犯罪として広く知られています。ではいったい、なぜ高齢者ばかりがターゲットになってしまっているのでしょうか。その背景に注目してみましょう。

 

孤立している

近年は、家族と離れ一人暮らしをしている高齢者が少なくありません。家族の関係性に問題がある場合以外でも、家族に気を遣わせたくない、住み慣れた土地を離れたくない、静かに過ごしたいといった理由から、そんな生活を選択する高齢者も多いのです。ですが、孤立することによる寂しさで振り込め詐欺被害に遭いやすくなっているのも実際のところです。高齢者の意思を尊重しつつも、密な連携・連絡をとることが重要でしょう。

 

判断力が鈍っている

認知症やそれに近い状態になってくると、判断力に衰えがみられ始めます。そうなると、若い人なら簡単に見抜けるようなあからさまな詐欺であっても、つい信用して騙されてしまいがちです。振り込め詐欺の犯人は、まさにそんな隙をついてターゲットにしてきます。自分だけは被害に遭わないなどといった考えを捨ててもらい、しっかり危機意識を持ってもらうことが大切でしょう。

 

振り込め詐欺にあってしまった高齢者が感じること

振り込め詐欺に実際巻き込まれた高齢者は、どのようなことを感じるのでしょうか。気持ちを察することで、適切なケアの検討に繋げられます。主には、以下のような心境が多いようです。

 

恥ずかしい

シンプルですが、このように思う高齢者は多いことでしょう。経験を重ねた立派な年代であるにもかかわらず、若く心無い犯罪者に騙されてしまったとなれば、恥ずかしさを覚えることも考えられます。注意喚起が徹底されている時代でもあるだけに、それにもかかわらず被害を受けたとなればなおさらです。

 

自尊心が失われるような思い

自分だけは大丈夫、そんな自信を打ち砕かれるわけですから、プライドが大きく傷つけられることでしょう。仕事やグループ組織において、それなりの地位を経験してきたような高齢者なら、一層ショックは大きいと言えます。このタイプの場合、ケアにもまた少し気遣いが必要になってきます。

 

強すぎる自責の念

悔しいという思いを奮い立たされるケースならまだしも、自分に非があると深く思いつめてしまう場合は、さらにダメージは大きくなりやすいです。高齢者世代はまじめで実直な性格の人も多いので、若い世代が思う以上に負担を感じているかもしれません。心配ばかりでなく、明るく接して元気付けるようなケアが、ポイントになってくるでしょう。

 

家族から孤立する恐怖心

一人暮らしという環境が原因で振り込め詐欺に遭ったとなれば、孤立への恐怖心が強まるかもしれません。それまで一人を好んでいたとしても、次にいつ危険が降りかかるか分からない、人が信じられないといった心境が、考えを変えてしまう場合もあるでしょう。

 

自ら命をたつことも考えてしまう

悔しさや自責の念、そして恐怖といった感情は、生きる気力をも失わせてしまうかもしれません。その結果訪れるのが、自ら命をたつという考え方です。家族としては想像もしたくない展開かもしれませんが、追い詰められてしまうと心はどんどん弱ってしまいます。危惧すべき状況でしょう。

 

振り込め詐欺にあってしまった高齢者をケアする方法

家族にできるケアとしては、とにかく親身に接して優しくいたわる方法がポイントとなってきます。普段は定期的にしか会わない間柄であっても、被害に遭って以降は少し頻繁にコミュニケーションをとってみてはいかがでしょう。温かい言葉を選んで、勇気付けてあげてください。

 

またそれでも改善がみられない場合は、心の負担をまだ打ち明けきれずにいることも考えられます。心情を家族が察してあげて、一緒に病院を訪れてあげる、カウンセリングを勧めるなど工夫してみてください。

 

 

振り込め詐欺は、まず巻き込まれないよう心がけることが重要です。ですが、それでもなお避けられない瞬間というのも事実訪れるかもしれません。そんなときは上記を参考に、高齢者の気持ちを察して家族がしっかりケアしてあげましょう。

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